能「黒塚 白頭」(金剛流)
2016-11-19


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 黒塚の内容は、紀伊国 那智、東光坊の修験者、阿闍梨祐慶は、同行の山伏らと共に、諸国を巡る修行の旅を続けていました。ある日、陸奥に辿り着いた一行は、人里離れた安達原で夕暮れを迎えてしまいます。そこに一軒だけあった家を訪ねたところ、女の一人住まいでした。祐慶たちは、女に一夜の宿を頼みますが、あまりにもみすぼらしいから、といったん断られます。あてのない一行は重ねて頼み込み、何とか泊めてもらうことになりました。

家の中で祐慶は、見慣れない道具を見つけ、女に尋ねます。すると女は、枠〓輪(わくかせわ)という糸繰りの道具であり、自分のような賎しい身分の者が取り扱うのであると答え、祐慶の求めに応じて糸繰りの様子を見せます。女は、辛い浮き世の業から離れられない我が身を嘆き、儚い世をしみじみ語ります。夜も更け、女は夜寒をしのぐために薪を取りに行くと祐慶に告げ、留守中に決して自分の寝室を覗かないようにと念押しして出ていきます。

ところが祐慶の従者のひとりは我慢できず、祐慶に戒められながらも、とうとう女の部屋を覗いてしまいます。すると、そこにはおびただしい数の死骸が山のように積まれているではありませんか。女は、安達原の黒塚に住むと噂にのぼっていた鬼でした。

慌てて逃げ出す祐慶たちに、鬼に変身した女が、秘密を暴かれた怒りに燃えて追いかけ、取って食らおうとします。しかし祐慶たちが、力を振り絞って祈り伏せると、鬼女は弱り果て、夜嵐の音に紛れるように姿を消しました。

 特殊演出の白頭で、迫力のある演出になっていました。前半は、秋の寂しさが感じるなかで夜が更けていく感じがします。今回は、ろうそく能のため、薄暗い中での上演で、さらに寂しさが感じられます。後半は、鬼と祐慶たちの戦いが激しく続きます。前半と後半が大きくことなり印象に残る能です。さらに中入りのアイの表現が面白く、楽しめる能でした。

[音楽]

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